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アーティストへのインタビュー~白駒一樹さん

 

 

 

 

Q.幼年期、また小中学生時代はどんな少年でしたか?

?━ その当時は数少ない、今でいう不登校の子供でした。幼稚園から始まっていたことなので、理由はよくは分かりません。 外界への不安を幼少期から人一倍、常に必要以上に持ち続けていたということだと思います。

それほど重度ではないにしても、自閉症スペクトラムということと関係があるのではと、今は思い当たります。

そんな子供でしたが図工、美術だけは唯一得意意識を持てる科目で、担当の先生方が小中といつも気にかけて下さり、教室移動で図工室、美術室へ向かう時は、気持ちが浮き立ったのを今でも覚えています。

 

 

 

Q.アーティストになろうと決められた時期とそのきっかけについてお聞かせください。

━ 不登校してしまう性格だったので、きっと会社など不向きだと思い込み、是が非でも作家というか、自分ひとりで家で出来る仕事をしたいと思っていました・・・大学4年で個展などを始め、幸いにも作品を購入していただいたり、扱っていただいたりということが続き、もう世の中に悩みはないのではないかと大勘違いをして、今に至っています。

 

 

 

Q.影響を受けた作家はいらっしゃいますか?

━ 藤原新也さん……
作品作りをしていると自分の作品作り中心に世界を考えがちではありますが、世界はもっと多面体であり、深淵であるということを思い知らされました……

 

 

 

Q.創作のアイデアがひらめくのはどんな時ですか?

?━ 往々にして偶然生まれることが多いと思っています。
ノーベル賞の発見などもよくあることではないでしょうか。

間違って逆さまに刷り重ねてしまった時とか……また、それとは別にとにかく数を作ることでしょうか。落書きのような線や形でも、10個から選ぶ1個と3個から選ぶ1個では、10個に1個の方がまず良いものであると思います。

 

 

 

Q.先生にとってアートとは何でしょうか?

?━ ささやかながら庭で野菜を作っているのですが、植物が育っていくには種をまき、発芽し、成長して、実や葉を充実させるにはいろいろと条件が必要です。

植物ですから自ら種子の落ちるところも選べないですし、土壌も選べない、日照ですら偶然のようなもの……人はさまざま自分の行動や出会いで人生を変革していくことが出来るとは言え、ある意味植物のように自分なりの境遇の上にしか生きられないものだとも思う。自分の生まれ落ちたところ、育った環境、出会った人々に感謝し、作品を作っていくということ。

そういったものの結晶が作品である訳ですが、良いものが出来るときもあるし、うまく行かない時もあるという人生の一コマ一コマが、アートのようなものでしょうか。

 

 

 

 

 

 

Q.作品制作の現場(アトリエ)についてお聞かせください。

?━ 版画を刷る部屋とレーザー加工をする小屋に分かれています。版画アトリエは木版プレス、マップケース、ドライラック、作りかけの版や試し刷りなどでいつも作業場然としてしまいますが、落ち着く静かな部屋です。

レーザー加工の小屋は、三畳ほどのちいさなログハウスで、その狭さがかえって心地よい秘密基地のようなスペースです。

小屋の前は庭で、種まきや草取り、収穫など常に何かしなければいけない作業があるので、時には制作より庭仕事の方が長い日も……

家ばかりではなく、よくノートパソコンを持って、車で出かけ海岸の駐車場や公園など、静かな場所を探し、考える作業をします。

Adobe illustratorは20年来使っていて、イメージ構築、版分解などしています。疲れると浜辺や公園で貝拾いをしたり、ヤマモモの実を取ったりなどしています。

 

 

 

 

?Q.職業としてのアーティストの立場から一般の方々にお伝えしたいことがありましたらお聞かせください。

?━ 自分がアーティストというのも大仰な気がしますが、人は皆アーティストというようなことも言えるのではないでしょうか。

人ひとりが人生を全うするというだけでも大変なこと。個々の人生を生き抜くことだけでもアートと言って良いような気がします。 そういう意味では人の数だけアートがあるのではないでしょうか。誰か特別な人のものではなく有名、無名も問わず、懐深くアートというものはあるのではと思います。

 

 

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